日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechococcus sp. PCC7942において硝酸還元酵素の活性発現に必要な新規遺伝子の単離
*前田 真一小俣 達男
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p. 397

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抄録
多くのラン藻は、フェレドキシン依存型硝酸還元酵素(NR)を持ち、硝酸イオンを窒素源として利用できる。硝酸イオンは、能動輸送体によって細胞内に取り込まれた後、NRによって亜硝酸イオンに還元され、さらに亜硝酸還元酵素(NiR)によってアンモニアにまで還元されたのちに、有機物へと同化される。単細胞性のラン藻Synechococcus sp. strain PCC7942では、これまでに硝酸還元に必要な3つの遺伝的領域(narAnarBnarC)が解析されている。narBの領域にはNRの構造遺伝子であるnarBが、narAnarCの領域にはNRの補酵素であるモリブデン補酵素の合成に関わる遺伝子群が存在している。我々は、硝酸イオンを窒素源として生育できない変異株の解析から、NRの活性発現に必要な新規遺伝子narMを単離した。narMは、161アミノ酸残基からなる親水性タンパク質をコードしており、NRを有するラン藻にのみ保存されていた。narM欠失株では、NiR活性は発現しており亜硝酸イオンを窒素源として生育できたが、NRの活性は検出されず硝酸イオンを窒素源として生育できなかったことより、narMはNRの活性発現に特異的に関わっていることが示された。また、narBおよびモリブデン補酵素の合成に関わる遺伝子群は、narM欠失株でも野生株と同等に発現していたことから、ラン藻のNRの活性発現には新規な因子が必要であることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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