抄録
防波堤築造工事等の海上工事においては,近年作業員の高齢化や減少,技術の継承が問題となっている.これまで,ケーソンの動揺や自動据付に向けた検討は行われているが,実務適用には十分とは言えず検討の余地がある.そこで本研究では,作業指示者の動きに着目し,据付時における波浪やケーソンの動揺と作業指示との関連性を見出すことを目的とする.ケーソンの位置変化と,作業指示者によるウィンチ操作者への指示状況を解析し,作業工程を引き寄せ段階,着底段階に分類した結果,ケーソン引き寄せ段階では移動に伴う動揺が顕著となり,また,着底段階では引き寄せ時より高頻度の指示を出しケーソンを制御していた.加えて,作業指示者へのヒアリングを行い,指示の内容,タイミングや指示者の感覚等について把握した.