日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803の光化学系I遺伝子転写調節に関わるシスエレメントの同定
*村松 昌幸日原 由香子
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p. 403

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抄録
シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803は光強度変化に応じて光化学系I (系I)複合体量を変化させるが、これは系I遺伝子群のプロモーター活性が、協調的に弱光下で増加し、強光下で減少することで主に調節されている (Muramatsu and Hihara, Planta 216: 446-453, 2003)。そこで本研究では、光応答を示す系I遺伝子の転写調節機構を明らかにするため、反応中心サブユニットをコードするpsaABのプロモーター構造解析を行った。psaABの推定プロモーター領域欠失シリーズを用いてのluxABレポーターアッセイから、psaABには光応答を示す2つのプロモーター(P1、P2)が存在し、各々の近傍には、光応答には関与しないが、プロモーター活性を常に正または負に調節する領域が存在していることが明らかになった。さらに、ゲルシフトアッセイにより、弱光下においてはP1、P2領域にそれぞれ異なる因子が結合していることが分かった。現在、様々に塩基置換を導入したP1、P2領域をluxABに結合し、光応答領域の同定を試みている。また、系I小サブユニット遺伝子psaDのプロモーター構造解析も同様に行っている。本大会ではpsaABおよびpsaDのプロモーター構造を比較することによって、系I遺伝子の発現が光強度変化に対し協調的に調節される機構を論じたい。
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© 2004 日本植物生理学会
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