日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の新規ストレス応答遺伝子pirABの発現調節機構
*日原 由香子村松 昌幸中村 絹園池 公毅
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p. 404

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抄録
Pirinは生物種間で広く保存されたタンパク質であり、ヒト、トマトでプログラム細胞死の過程に関わることが知られているが、原核生物におけるPirinホモログの役割は全く分かっていない。演者らは、塩、浸透圧、酸化、エタノール等の各種ストレス条件下のシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803で、Pirinホモログをコードするsll1773、ジンクフィンガーモチーフを2個持つ推定転写因子をコードするssl3389が共転写されてくることを見出し、これらのORFをそれぞれpirApirBと名付けた。ストレス条件下でのpirABの発現と、細胞の受ける増殖阻害との間には特に相関は見出されず、Synechocystis sp. PCC 6803におけるpirAの細胞死への関与は未だ不明である。pirABの上流逆向きにはLysR型の転写因子をコードするslr1871が存在しており、この遺伝子を破壊すると、非ストレス条件下でのpirAB発現が脱抑制されることを見出した。このことはslr1871がpirABのリプレッサーとして機能することを示唆するため、これをpirRと名付けた。現在、pirABpirRの三者が、ストレスの有無に応じて複雑な相互調節を行なっていることが明らかになりつつある。本年会ではこれらの遺伝子破壊株についてのマイクロアレイ解析の結果も併せて報告したい。
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© 2004 日本植物生理学会
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