日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単細胞性ラン藻Gloeobacter violaceus PCC 7421のゲノム構造解析
*金子 貴一中村 保一佐藤 修正三室 守宮下 英明土屋 徹田畑 哲之
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p. 405

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抄録
Gloeobacter violaceus PCC 7421はチラコイド膜を持たない単細胞性のラン藻である。光合成系のタンパク質は細胞膜上に存在している。また、Gloeobacterはラン藻の分子系統樹の中で最も古く分岐するため、他のラン藻とは異なる遺伝的特徴を多く保持する種であることが期待される。本研究では、Gloeobacterの全遺伝子情報から酸素発生型光合成の進化と起源に関する知見を得ることを目的として、全ゲノム構造解析をおこなった。Gloeobacterゲノムは4,659,019 bpの染色体からなる。ゲノム上には、4430のタンパク質遺伝子が推定され、その41%については他生物遺伝子へのアミノ酸配列の類似性に基づいて機能が推測された。光合成関連の遺伝子構成については、Gloeobacterは他のラン藻とよく似ていた。ところが、全遺伝子の機能別分類と遺伝子ファミリーの分類、さらに他ラン藻ゲノムとの遺伝子構成比較をおこなったところ、他のラン藻とは異なる特徴がGloeobacterにみつかった。例えば、転写因子の数が多いこと、SQDG生合成系や生物時計関連遺伝子がみつからないこと、カロテノイド生合成系が部分的に異なることである。これらは、Gloeobacterがラン藻の中でも独自の進化を遂げたことを示しているのかもしれない。
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© 2004 日本植物生理学会
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