抄録
TypeI型ホモダイマー反応中心を持つヘリオバクテリアHb. modesticuldumの電子伝達経路を同定するため極低温ESR測定を行った。8 Kの光照射により電荷分離状態P800+FX‐を作ると、10 msの時定数で再結合をした(1)。230 Kから14 Kまで光照射しながら反応中心コア標品を冷却すると、線幅12 G、g = 2.0060を中心とした非対称のシグナルの蓄積が観測された。PS Iとの類推から、この信号はコアタンパク内に存在する還元型メナキノンに由来する可能性が高い。さらに、レーザー閃光照射時のESR信号の時間依存性を調べた。Flash直後の短時間領域では電子間のスピン相互作用を示す非常に強い分極シグナルが観測され、A / E / A / Eの分極パーターン(A: absorption E: emission)を示した。一方、暗所で凍結したコア標品ではP800+FX‐分極シグナルのE / A / Eパターンが観測された。これらの結果をPS IのP700+Q(キノン)‐分極シグナルとの比較で議論する。
(1) 2003年度植物生理学会年会 宮本ら