抄録
我々はこれまでにアンチセンス法を用いてCHS(Chalcone synthase)遺伝子を抑制した白花リンドウを作出し解析を進めている。さらに花弁特異的かつ高効率のCHS遺伝子の抑制を目指し、内在性のプロモーターによるRNAi誘導型ベクターを用いて形質転換を行った。
リンドウ花弁特異的CHSプロモーター制御下にinverted repeat構造のCHS部分断片(約500bpセンス及び250bpアンチセンス)を繋ぎ、アグロバクテリウム法により青花リンドウへ導入した。形質転換体では青色の抑制が観察され、その効率は24系統中17系統であった。白色よりも薄青色の花色を示す系統が多く観察され、アンチセンス法に比べて抑制程度が低いという結果が得られた。また同じ系統であっても個体ごとに花色のばらつきが認められ、内在のCHSプロモーターを用いた影響によるものと推定された。白~薄青を示した1系統を増殖させ、12個体について花色及びアントシアニン量を調査した結果、花色に応じたアントシアニン含量を有していた。白花化花弁でのCHS遺伝子の発現はアンチセンス白花化系統とほぼ同程度にまで低下しているのに対し、薄青花色の個体ではその抑制が不完全であった。現在、本原因の究明を目指し、CaMV35Sプロモーターとの比較、siRNAの検出、CHSプロモーターのメチル化等について解析を行っている。