日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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白花およびピンク花リンドウの花色発現機構の解明
*中塚 貴司西原 昌宏三柴 啓一郎山村 三郎
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p. 418

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抄録
リンドウのフラボノイド生合成系に関与する遺伝子発現を解析した結果、白花リンドウ品種‘ホモイ’においてはANSの発現が検出されず、ANS変異体であると推定された。ANSGFPをCaMV35Sプロモーターにドライブし、パーティクルガンで花弁に導入したところ、赤色着色とGFP蛍光が同一細胞で観察され、本変異はANSの導入により相補されることが示された。同じく白花品種の‘ポラーノホワイト’においては、ANSといくつかの関連遺伝子の発現が弱く、また低温条件下で花弁が着色するなどから構造遺伝子の変異による可能性は低いと考えられる。ノザン解析の結果、着色花弁ではCHS, F3H, F3'H, ANSの誘導、CHI, F3',5'Hの抑制が観察され、白花化の原因はフラボノイド生合成遺伝子群の転写調節因子の変異であると推定された。一方、ピンク花リンドウ品種‘ももこりん’のF3',5'Hの配列内には両端に76bpの繰り返し配列を持つ520 bpのレトロトランスポゾン様挿入配列が存在しており、ピンク花化は本遺伝子の変異によるものであることが示唆された。サザン解析の結果、エゾ系及びササ系リンドウ共に多数のバンドが見られ、本配列はリンドウゲノム内に散在する配列であることが示された。現在、レトロトランスポゾン様配列の元配列の単離を目指して、解析を進めている。
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© 2004 日本植物生理学会
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