抄録
2’,4,4’,6’-テトラヒドロキシカルコン2’-糖転移酵素(THC2’GT)は、黄色を呈するテトラヒドロキシカルコン(THC)を無色のナリンゲニンへと異性化するのを抑制し、細胞内で安定化させることから、THC2’GT遺伝子は黄色の花の分子育種に有用である。カーネーション(Dianthus caryophyllus cv. light cream candle)の黄色花弁から得られた35個の糖転移酵素(GT)遺伝子を大腸菌で発現させ、それぞれの組み換えタンパク質のC2’GT活性を測定した。クローンT170、T128、CGT93、S12A2にin vitroでのTHC2’GT活性が見られた。これらの遺伝子をペチュニアで発現させたところ、T170およびT128を発現しているペチュニアでTHC2’-glucosideが合成されていた。しかしながらその蓄積量が少ないためか、花弁が黄色を呈するには至らなかった。
シクラメン(Cyclamen persicum)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)の花弁cDNAライブラリーからT170のホモログ遺伝子をクローニングした(YCy3-12, YMb4)。これらを大腸菌で発現させ、酵素活性を測定したところやはりTHC2’GT活性が見られた。
(本研究は生研センターからの受託で実施した)