日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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C末端領域を欠失させることでイネグルタミン酸脱炭酸酵素 (OsGAD)活性は上昇する
*赤間 一仁藤本 英志宮原 善男中村 祐恵
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p. 443

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抄録
 グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)はγ-アミノ酪酸(GABA)の合成に関与する。双子葉植物GADのC末端側が普遍的にカルモジュリン結合部位(CaMBD)を持つのに対して、イネ(単子葉植物)はCaMBDを持つアイソフォーム(OsGAD1)とCaM結合を欠くアイソフォーム(OsGAD2)の2種類から構成されることを我々はすでに明らかにしている (Akama et al, 2001)。昨年度の本大会では、大腸菌の発現系を用いて調製した組換えタンパク質OsGAD1がCa2+/CaMに依存してその活性が著しく増大するのに対して、組換えOsGAD2ではこのような活性化がもたらされないことを報告した。
 イネの2種類のGADアイソフォームの活性調節におけるC末端ペプチドの役割を明らかにするために、この領域をコードする部分を欠失させたcDNAを構築し、上記と同様のタンパク質発現系を用いて融合タンパク質の誘導・精製と酵素活性の測定を行ない、野生型融合タンパク質とのものとの比較検討を行なった。この結果、CaMBDを除いたOsGAD1はCa2+/CaMが存在しなくても、高い活性が観察された。一方、OsGAD2はC末端ペプチドの切除によって、Ca2+/CaMの有無に関わらず、野生型と比較して約5倍の活性増大が観察された。以上の結果から、いずれのイネGADアイソフォームともにそのC末端領域は通常自己阻害ドメインとして機能しており、Ca2+/CaMと結合することによって、その阻害効果が解除されると考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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