2025 年 46 巻 2 号 p. 98-110
5G 通信,5G ミリ波通信等で要求される大容量,高速通信の達成のために,銅張積層板(CCL)の改良研究が進められてきた。これら先端の通信には高周波帯の使用が要求される。周波数が高くなると誘電損失が大きくなり,熱が発生し,CCL 板に熱が蓄積されやすい。そのため,高周波通信においてCCL 板の撓み(ベント)が生じ,CCL 板回線がショート(短路)し発火を招くことがあるため,高いガラス転移点(Tg)と難燃性が求められる。しかしながら,難燃性の付与と,低誘電,高Tg(耐熱性),ピール強度(銅箔密着性),難燃性成分の相溶性はトレードオフの関係にあり,これまで先端CCL 材料の研究を困難にしてきた。本論では難燃性のメカニズムを解析し,難燃性と低誘電,高いTg,ピール強度(銅箔密着性)を有する難燃性低誘電化合物を示し,使用例を示しながら実証して行く。