日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ビスフェノールAを配糖体にする植物のグルコース転移酵素 cDNA のクローニング
*中嶋 信美大嶋 幸子John S. Edmonds玉置 雅紀久保 明弘青野 光子佐治 光
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p. 445

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抄録
内分泌攪乱化学物質であるビスフェノールA (BPA) を配糖化する酵素 (BGT)の cDNA を単離する目的で、植物のグルコース転移酵素 (GTase)で保存されているアミノ酸配列からプライマーを設計し、タバコ BY-2 細胞の RNA を用いて RT-PCR 法により、既知の GTase をコードしている 4 つの cDNA 断片 (NtGT1a: AB052557, NtGT10a: U32643, NtJIGT: AB000623, NtSAGT: AF190634)を単離した。それぞれの全長鎖 cDNA を単離し大腸菌内で発現させ、粗抽出液の BGT 活性を調べた。その結果、NtGT1a , NtGT10a, NtSAGT を発現させた場合 BGT 活性が検出できたが、NTJIGT を発現させても活性は検出できなかった。次に播種後 4 週間のタバコ実生を葉と根に分け、BGT 活性とこれら遺伝子の mRNA 量を調べた。その結果、葉は根の 3 倍以上の BGT 活性を持っていた。NtGT10aNtSAGT の mRNA の量は葉と根で大きな差はなく、どちらも構成的に強く存在していた。それに対し NtGT1a の mRNA は葉で多く存在しており、根ではほとんど見られなかった。以上の結果、BPA を配糖化する酵素は複数存在することが明らかとなった。現在、BPA の配糖化にどれが最も強く関わっているか検討中である。
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© 2004 日本植物生理学会
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