日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

Nucleotide Pyrophosphataseの精製及びcDNAクローニング
*南條 洋平黒川 俊輔近藤 善宏伊藤 紀美子Javier Potueta-Romero三ツ井 敏明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 446

詳細
抄録
我々は、デンプンの生合成におけるグルコース供与体であるADP-グルコースをAMPとG1Pに分解する酵素活性を発芽イネ種子幼芽組織において見出し、その精製を行った。精製された酵素分子は70 kDaのサブユニットから構成された285 kDa の分子を形成しており、その至適pHは6.0、至適温度は60℃であった。本酵素は、ADP-グルコースだけでなくUDP-グルコース、ATPなどその他のヌクレオチドに対する分解活性をもつことから本酵素をNucleotide Pyrophosphataseとした。プロテインシークエンサー及びnESI-MS/MS 解析により決定したアミノ酸配列をもとに本酵素のcDNAをクローニングした。本酵素遺伝子の大腸菌発現タンパク質に対する抗体を作製し、免疫電子顕微鏡観察を行ったところ、本酵素は緑葉細胞内において葉緑体及び細胞壁に局在していることが分かった。さらに本酵素とGFPの融合タンパク質を用いた一過性発現解析においてもプラスチド局在を示し、本酵素にはプラスチドに輸送されるための輸送シグナルが存在することが示唆された。本酵素がプラスチドに局在するという結果は本酵素がデンプン生合成制御に関わることを強く支持した。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top