日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803のヘモリシン様タンパク質の熱による可逆的構造変化
*先山 哲史上野 裕則沼田 治桑原 朋彦
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p. 451

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抄録
近年,病原菌以外にもヘモリシン様タンパク質(HLP)の存在が明らかになりつつある。これらのタンパク質は溶血以外の生理機能をもつと考えられるが,それが何かは明らかでない。Synechocystis sp. PCC6803についても, HLPは本菌の主要なタンパク質であるが,その生理機能は不明である。HLPのDNA配列から予想される分子量は約178,000であり,カルシウムイオンのhalf-binding siteであるβ-roll構造を複数もつことが知られている。我々はこれまでにHLPを精製し,本タンパク質がSDS存在下における熱処理により,SDS-PAGEで90 kDaから>200 kDaに大きく移動度を変えることを報告した。今回,SDS非存在下で熱処理すると,カルシウム添加により移動度が90 kDaに戻ることを発見した。この事実は,本タンパク質の高次構造の変化にはカルシウムの結合が関与していることを示唆する。EGTAではこの移動度の変化は起こらないことから,カルシウムのHLPに対する結合はEGTAに対するより強いか,もしくはEGTAが接近できない部位に存在することが示唆された。また免疫電顕により,HLPはS-layerに局在していることが明らかになった。我々はHLP の構造変化が本菌のmotilityに関与するのではないかと考えて研究を進めている。本発表ではこの仮説について議論する。
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© 2004 日本植物生理学会
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