日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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いもち病感染初期遺伝子応答のマイクロアレイを用いた解析
*日比 忠晴岩井 孝尚黒田 克史佐々木 克友矢崎 潤史石川 雅弘藤井 文子真保 佳納子島谷 善平長田 夕子橋本 晶子太田 智弥佐藤 友紀本多 幸子山本 公子坂田 克己佐々木 卓治岸本 直己菊池 尚志光原 一朗大橋 祐子
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p. 455

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抄録

いもち病菌(レース003)に対し罹病性のイネ系統(Nipponbare)と,抵抗性のイネ系統 (IL7: いもち病抵抗性遺伝子Pi-iを有する準同質系統),およびイネの耐病性発現への関与が予想されるエチレン前駆物質 ACCを処理した罹病性イネ系統を用い,いもち病菌接種42h(抵抗性イネで病斑が出来はじめ,罹病性イネでは無病徴)でその発現が変動する遺伝子を,イネ9000 cDNAマイクロアレイを用いて解析した.その結果,罹病性イネ系統でいもち病菌感染時に特異的にその発現が2.5倍以上に増大または0.4倍以下に減少するものは それぞれ,526と508クローン存在した.そのうち,5.0倍以上,0.2倍以下に変動する112, および138クローン中には,代謝系とシグナル伝達系,ストレス応答系で働くと想定されるクローンが多数含まれていた.この中で,糖代謝関係の遺伝子の動きが注目されたことから,イネ葉におけるショ糖,グルコース,フルクトース,デンプン含量を調べたところ,いもち病感染により,抵抗性系統やACC前処理した罹病性系統で,より顕著なショ糖レベルの減少がみられた.この結果から,抵抗性応答を行っている葉ではショ糖濃度が減少する傾向があることが示された.

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© 2004 日本植物生理学会
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