日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成とオーキシン極性移動:オーキシン極性移動関連遺伝子の分離とその発現に対する重力刺激の影響
*星野 友紀宮本 健助谷本 英一上田 純一
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p. 466

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抄録
我々は、宇宙微小重力環境(STS-95宇宙実験)あるいは3次元クリノスタット上の疑似微小重力環境下において、暗所で発芽・生育させた黄化エンドウ(Pisum sativum L. cv. Alaska)芽生え上胚軸は子葉から離れる方向に傾斜して伸長する(自発的形態形成)と共に、特に宇宙微小重力下ではそのオーキシン極性移動能が著しく低下することを報告している。さらに、オーキシン極性移動阻害剤は地上1 g 下において黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成を表現模写することを見出した。以上の結果は、黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成制御におけるオーキシン極性移動の重要性を示している。本研究では、オーキシン極性移動システムの構築に対する重力の影響を分子レベルで解明する目的で、黄化エンドウ芽生えのオーキシン極性移動関連遺伝子の分離を試みた結果、新規遺伝子であるPsPIN2PsAUX1の完全長cDNAを得た。推定アミノ酸配列に基づく相同性の比較から、PsAUX1はAtAUX1と極めて高い相同性を示すこと、また、PsPIN2はAtPIN1よりむしろAtPIN3、4、7と高い相同性を示すことが明らかとなった。黄化エンドウ芽生えにおけるこれらオーキシン極性移動関連遺伝子発現に対する種々の重力刺激の影響を解析した結果、これらの遺伝子の発現は各種重力刺激の影響を受けることが示された。この結果に基づき、黄化エンドウ芽生えにおける重力応答反応とオーキシン極性移動との関係を考察する予定である。
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© 2004 日本植物生理学会
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