抄録
LexA は SOS応答に関与するリプレッサーとして、大腸菌などでよく研究されている。一方、光合成を行うシアノバクテリアには lexA 様遺伝子は存在するが、SOS応答はよくわかっていない。我々は既に Synechocystis sp. PCC 6803 の Sll1626 が SOS応答性の遺伝子発現にはほとんど関わっていないことを報告している。しかし、近年のゲノム解析では、シアノバクテリアの種間でアミノ酸配列に違いがあることが明らかになってきた。本研究では、LexA の自己分解に必須といわれる4つのアミノ酸残基のうち2つが保存されていない Synechocystis の Sll1626 と、保存されているAnabaena sp. PCC7120 の Alr4908 を発現・精製し、その自己分解活性を調べた。Alr4908 では分解産物と考えられる2つの断片が経時的に増加し、特に高pH中で分解が促進された。この結果は大腸菌の LexA の知見と一致している。一方 Sll1626 では分解産物は検出されなかった。以上の結果は、大腸菌で報告されている残基は、シアノバクテリアの LexA 様タンパク質においても自己分解に必須であることを示しており、未知の調節を受けている可能性を示唆している。