日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

植物葉粗抽出液の二次元電気泳動におけるRuBisCO大サブユニットの挙動
*新井 伸吾嶋岡 泰世富澤 健一横田 明穂
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 478

詳細
抄録
 二次元電気泳動(2-DE)では翻訳後修飾やアイソザイムの存在により同一タンパク質が複数のスポットとして検出される場合がある。我々は、植物粗抽出液を用いて2-DEを行った場合、理論値のpI 6.0をもつRuBisCO大サブユニット(NPRL)とは別に分子質量はほぼ等しいがpI 4.3~4.5のRuBisCO大サブユニットのスポット(LPRL)が検出されることを抗体反応と質量分析によって見出した。既報のRuBisCOの翻訳後修飾では最大でもpI 0.1以内の変化であることから、LPRLの検出は新たな現象であると言え、この現象の原因究明は2-DEを用いたRuBisCOの研究をする上で重要であると考えられる。そこでLPRLのさらなる解析を行った。まず、精製したRuBisCOを2-DEした際、LPRLは全く検出されなかった。また、葉の粗抽出液の等電点電気泳動においては、LPRLはブロードなバンドとして検出された。さらに、葉の粗抽出液を等電点電気泳動したゲルからpI 4.0-5.0付近のタンパク質を抽出し、2-DEを行ったところ、他のタンパク質がpI 4.0-5.0に泳動されたのに対して、LPRLだけがpI に泳動された。これらの結果からLPRLは粗抽出液に含まれる物質に何らかの泳動阻害を受けた結果であると考えられ、現在、この阻害の原因の研究を進めている。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top