抄録
本研究では、ブロッコリー小花におけるアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)、ガラクトノラクトン脱水素酵素(GLDH)、モノデヒドロアスコルビン酸還元酵素(MDAR)、酸化型アスコルビン酸還元酵素(DHAR)、酸化型グルタチオン還元酵素(GSHR)の遺伝子発現について、収穫、スクロース濃度、光強度による影響を調査した。ブロッコリー植物本体から葉を取り除き48時間20℃の実験室に放置した時、小花のアスコルビン酸含量とスクロース含量の減少が引き起こされ、葉緑体に存在するAPX、MDAR、DHARおよびGLDHの遺伝子発現量は減少した。一方、無傷のままあるいは葉をつけたまま20℃に放置したブロッコリーの小花では、そのような減少は観察されなかった。さらに、収穫されたブロッコリーに10%スクロース処理あるいは強光照射をすると小花のアスコルビン酸含量は高く保たれ、葉緑体、ミトコンドリアにあるアスコルビン酸代謝関連酵素の遺伝子発現は強く誘導された。