日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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メタボローム解析によるストレス耐性イネのレドックス制御物質の挙動
*高橋 秀行林 光紀堀田 雄司内宮 博文
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p. 497

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抄録
OsHCTR形質転換イネではNAD合成酵素、NADリン酸化酵素の活性化に伴い、NAD(P)(H)量の増加が観察された。さらにROSを介した様々のストレスに対して耐性を示すことが明らかになった。これらの結果から、NAD代謝と複合ストレス耐性には相互関係があると推測し、生化学的反応におけるNAD(P)の還元型に注目して実験を行った。はじめに、NAD(P)還元酵素活性と関与する代謝物を調べた。その結果、TCA回路上のNAD依存性酵素の活性は減少し、解糖系酵素はわずかに増加していることが明らかになった。一方NADPHを生成する酵素の比較では、ペントースリン酸経路系酵素よりリンゴ酸酵素において明らかな活性化が観察された。以上の結果から、高発現系統ではNADPH生成経路の活発化が考えられた。さらに多くの代謝物の解析から、グルタチオン(GSH)の増加が判明した。また、GSH還元酵素、GSH依存性ペルオキシダーゼ活性共に活性化が見られた。ROSストレス耐性を示す高発現系統では、増加したNADPHを利用してGSHのサイクルを活発化させることが結論付けられた。
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© 2004 日本植物生理学会
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