抄録
糖シグナリング機構を明らかにするためシロイヌナズナの糖高感受性変異体ghs1 (glucose hyper-sensitive 1)の遺伝学的・生理学的解析を行った。Col.は7%のグルコースを含んだ培地上において本葉の展開の阻害やアントシアニンの蓄積、クロロフィル合成の抑制などの糖応答を示すがghs1変異体では5%以上のグルコースを含んだ培地上でこれらの応答が観察された。原因遺伝子単離の結果、GHS1遺伝子はプラスチド30Sリボソームタンパク質S21をコードした遺伝子にT-DNAが挿入されることで生じた劣性変異体であることが明らかになった。この変異体において、1) RBCLとRBCSのタンパク量の減少、2) 光合成活性の減少、3) 発芽初期におけるクロロプラストの発達障害が観察された。これらの結果から、GHS1遺伝子はプラスチドのタンパク合成や光合成に機能することが示され、クロロプラストの機能と糖シグナリング機構の関係が示唆された。