日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

クラミドモナスにおける光化学系IIの酸化ストレス傷害の機構
*西山 佳孝兼松 亨村田 紀夫林 秀則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 526

詳細
抄録
 光化学系IIは酸化ストレスに対してきわめて感受性が高い。これまでその主要な原因は、活性酸素が光合成装置を攻撃して失活に導くためであるとされてきた。これに対し私たちは、活性酸素の標的が光化学系IIではなく、光化学系IIを修復させるプロセスであることをラン藻を用いて明らかにしてきた。しかしながら、葉緑体でも同じメカニズムが起こっているかどうかは不明である。そこで本研究では、真核藻類であるクラミドモナスを用いて光化学系IIに対する活性酸素の影響をin vivoで調べた。
 Chlamydomonas reinhardtiiの細胞に活性酸素誘発剤であるメチルビオロゲン、過酸化水素、ローズベンガルの存在下で強光を照射すると、光化学系IIの活性が著しく低下した。しかし、その際にクロラムフェニコールを共存させてタンパク質合成を阻害すると、これらの化合物の影響は低濃度ではほとんど見られなくなった。このことは、スーパーオキサイド、過酸化水素、一重項酸素などの活性酸素が光化学系IIに直接損傷を引き起こすのではなく、光化学系IIを修復させるプロセスを阻害していることを示唆している。すなわち、ラン藻と同様に葉緑体でも活性酸素の最初の標的が修復系であると推測される。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top