日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutum β-carbonic anhydrase発現における光応答
*中妻 大輔原田 尚志松田 祐介
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p. 531

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抄録
珪藻は、地球全体の炭素固定の約25%を占めている。藻類は二酸化炭素欠乏環境でも効率よく炭素固定を行うために無機炭素濃縮機構(CCM)を持っており、珪藻においてもそれは確認されている。CCMにおいて、カーボニックアンヒドラーゼ(carbonic anhydrase : CA)は、重要な役割を担う因子の一つである。我々は、海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutumからβ型CA(PtCA)をすでにクローニングしている。前回、この遺伝子の発現がCO2濃度の変化によって誘導され、光はその発現量を増大させる効果があることを報告した。この光による発現調節機構を解明することを目的に、今回、光応答性のシスエレメントの同定を試みた。PtCAの上流約1.3kbを段階的に824, 484, 225, 115, 70, 30bpとなるように短くしたものとGUS遺伝子をそれぞれ連結させたこれらのDNA配列を含む形質転換ベクターをP. tricornutumに導入し、GUS活性を指標としてプロモーターの機能解析を行った。光環境下では、PtCAの発現を抑制するために高CO2環境で成育させた細胞をAir環境へ移すと、PtCAの発現が誘導された。形質転換珪藻において、PtCAの上流域が50bp以上のものは、Air環境へ移すとGUS活性の誘導が確認された。1292, 824, 484, 225, 115, 70bpのPtCA上流域を含む形質転換珪藻を用いて、高CO2環境及びAir環境下でのGUS活性発現の光による応答について報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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