抄録
我々は、C4光合成をより深く理解する一助として、既知のC4光合成関連タンパク質以外にどのような因子がC4光合成の成立に関与しているのかを追求している。今回、同族内にC3種からC4種、中間種の光合成特性を示す植物を内包するフラベリア属の二種の植物C4型フラベリア(F.trinervia)とC3型フラベリア(F.pringlei)を実験に用い、この二種間における遺伝子発現解析からC4種により多く発現していた新規遺伝子をディファレンシャルスクリーニング法により単離した。それらは29種の遺伝子群に分類され、既知の遺伝子と相同性を示す19種、示さない10種の遺伝子をコードしていた。これら遺伝子の多くは、おもに明期の葉に発現がみられ、それらの機能が光合成と関連していることが示唆された。なかでも葉緑体やミトコンドリアに局在する可能性が示されたクーンを中心にしてにいくつかの遺伝子ついて、葉の発達時期・葉内における組織特異的遺伝子発現・タンパク質の細胞内局在性などを調査した。既知のC4光合成関連遺伝子と比較した結果を合わせてこれらの新規遺伝子産物の機能とC4光合成との関連性を議論する。