抄録
托葉とは、葉の基部付近に生ずる葉身以外の葉的器官の総称であり、エンドウのように大きく発達するものから、一見全く形成が起らないもの、あるいは、一旦形成されても、比較的早い時期に脱落するものなど、形態も種によって様々である。我々は、マメ科モデル植物であるミヤコグサを用い、托葉形成機構を解明しようと試みている。
ミヤコグサの葉は野生型において、2枚の托葉と、3枚の小葉からなる三出複葉とで構成される。これに対し、#1448および#216変異株では、托葉の形成がみられず、複葉を構成する3枚の小葉は、各々異なった程度で棒状化あるいは杯状化する。解剖学的解析の結果、これら棒状化した小葉では向軸側の性質を持つ細胞が見られないことから、キンギョソウphan変異体に見られる棒状葉と似た性質を持つことが明らかになった。そこでまず、この劣性変異の原因を探る目的で、ミヤコグサより2コピーのPHAN/AS1/RS2ホモログを単離し、発現部位、及び変異の有無について解析を行った。本大会では、解析結果をもとに、それらホモログが両変異株における原因遺伝子かどうかについて議論したい。