日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高等植物の懸濁培養細胞におけるフィチン酸合成と液胞への蓄積機構の解析
*三橋 尚登関口 陽子大西 美輪三村 徹郎
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p. 579

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抄録
イノシトール六リン酸すなわちフィチン酸は,種子の形成過程において大量に合成され, CaやMgなどの金属イオンと結合して液胞に蓄積するリンの貯蔵物質である.我々は,ニチニチソウおよびシロイヌナズナ懸濁培養細胞にフィチン酸の大量合成を誘導し,液胞内に蓄積させることに成功している.種子のフィチン酸の大部分がCa, Mgなどと結合していることから,次にフィチン酸蓄積機構に対する金属イオンの効果について調べた.リン酸とともに種々の金属イオンを加えて培養したところ,Ca,Mg,Znを与えた細胞では,リン酸のみを与えた場合よりもフィチン酸の蓄積が促進された.このとき,フィチン酸合成の鍵酵素と考えられるイノシトール1リン酸合成酵素のタンパク質量に変化は見られなかった.また,Caを与えた細胞では主に液胞内にフィチン酸が蓄積していたが,Znを与えた細胞では,液胞にはフィチン酸が蓄積していないことをこれまでに明らかにしてきた.今回,Zn添加後の細胞におけるフィチン酸およびZnイオンの細胞内局在についてさらに詳細な解析を行ったので,その結果を報告する.また,フィチン酸合成に関与すると考えられるイノシトールリン酸キナーゼ遺伝子の発現パターンについても現在検討中である.
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© 2004 日本植物生理学会
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