日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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水チャネル過剰発現体イネにおける根の形質と塩ストレス応答性の変化
*且原 真木小塩 和輝柴坂 三根夫林 泰行早川 孝彦笠毛 邦弘
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p. 585

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抄録
私たちはオオムギ根で発現している原形質膜型水チャネルの遺伝子を3種類同定し、解析した結果をこれまでに報告している。また、3つの遺伝子のうちのひとつ、HvPIP2;1によってイネを形質転換して過剰発現させた。その作成と一部の形質については2002年度および2003年度の本大会において報告してきた。今回は、この形質転換体について、その根の形質と塩ストレス感受性についての解析結果を報告する。
形質転換T2世代の6322系統では、根において非形質転換体(以下WT)に比べて根においてHvPIP2;1タンパクの過剰発現と水透過性の上昇が認められた。また地上部/根の重量比をとると、6322系統ではWTに比べて1.5倍になっていた。6322系統では根の水透過性が高くなったため、小さな根系でも地上部を維持するのに必要な水を供給できるようになったことを意味するものと考えている。次に水耕培養で100 mM NaClの塩ストレスを与えたところ、WTではストレスを受けて生育は遅くなるが、生育を続けた。形質転換T2のうちで導入遺伝子が発現しなくなった6360系統については、塩ストレスに対する反応はWTと同様であった。一方過剰発現体6322系統では塩ストレスで生育が止まり、葉の含水量が低下して枯死した。塩ストレス条件下で水チャネルを介しておこる脱水を、過剰発現体は抑制できなかったためであろうと考えている。
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© 2004 日本植物生理学会
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