日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ外向き整流性K+チャネル遺伝子のクローニングと発現解析
*岩崎 郁子中原 健二佐藤 愛佐藤 雅彦中西 洋一前島 正義北川 良親
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p. 586

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抄録
 生物界には多様なK+チャネルが存在し,機能も多様である。イネにおけるK+チャネルの役割を理解する目的で,「ひでこもち」と「ひとめぼれ」の2品種を対象に,播種後約3週間目の幼苗の葉から、共通の1つの遺伝子をクローニングした。推定一次構造には4つの膜貫通領域が存在し、K+イオン選択性に関わるモチーフ(TXGYG)が2つタンデムに並ぶ。これは外向き整流性K+チャネルの特徴である。この遺伝子(ROK,rice outwardly rectifying K+ channel)は、ゲノムデータベース(Oryza sativa japonica L. cv. Nipponbare)から1コピーであることがわかり、サザン解析の結果とも一致した。シロイヌナズナK+チャネルとの相同性は、内向き整流性K+チャネルKAT1、AKT2とはそれぞれ26、23%、外向き整流性K+チャネルKCO1、KCO2、KCO3、KCO5とはそれぞれ34、39、33、40%であった。植物K+チャネルの系統解析でも、ROKは外向き整流性を示すグループに入る。
 播種後2~3週間目の幼苗の葉、茎、根および出穂期の約10日前の穎花の葯におけるROKのmRNA量を、RT-PCR サザン分析およびリアルタイムPCR法で分析したところ、2品種いずれも葯での発現量が比較的多く、他の組織(葉、茎、根)の3~5倍であった(4-5 ng of mRNA / mg of total RNA)。酵母に異種発現させたROKタンパク質の分子サイズは、約50kDであった。
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© 2004 日本植物生理学会
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