オレオサイエンス
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特集総説
脳機能に及ぼすアラキドン酸摂取の影響
河島 洋
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2009 年 9 巻 10 号 p. 433-441

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抄録

アラキドン酸は必須脂肪酸の一種であり, ドコサヘキサエン酸とともに, 脳内に存在する主要な脂肪酸のひとつである。アラキドン酸が母乳成分であることをきっかけに乳児栄養における重要性が見出され, 乳児用調整粉乳に添加されるようになった。また, 加齢に伴う記憶学習能の低下がアラキドン酸摂取により改善することがラットで確認されるとともに, ヒトにおいても, 脳波 (事象関連電位) による認知機能や神経心理テストによる記憶学習能の改善が明らかとなった。メカニズムに関しても, 神経細胞膜の流動性の改善や神経幹細胞数の増加などが見出されつつある。栄養学的な研究も始まっており, アラキドン酸を摂取する意義がさらに解明されることが期待される。

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© 2009 公益社団法人 日本油化学会
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