日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナLINEのORF1タンパク質の核局在と多量体の形成
三崎 悟郎太田 与志津*土本 卓征矢野 敬町田 泰則大坪 久子大坪 栄一
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p. 595

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抄録
 我々はこれまでにシロイヌナズナゲノムから多くのLINE (Long INterspersed Element) を同定した。LINEの多くは2つのタンパク質、ORF1とORF2、をコードするが、ORF1の機能については詳しくわかっていない。そこで我々はその機能を調べるため、まずシロイヌナズナLINEのひとつATLN39のORF1をGFPと融合させ、タバコBY2細胞およびタマネギ表皮細胞で発現させて、その細胞内局在を調べた。その結果、GFP-ORF1融合タンパク質は核に局在することがわかった。そのC末領域に存在する塩基性に富んだアミノ酸配列をGFPと融合させても核に局在することなどから、ORF1はC末領域に核局在シグナルを持つことがわかった。次にORF1同士、あるいはORF1とORF2の相互作用を酵母のtwo-hybrid系を用いて調べたところ、ORF1同士は相互作用したが、ORF2との相互作用は検出されなかった。ORF1同士の相互作用にはN末領域が必要であり、特に保存されているzinc-finger様ドメインに変異を導入すると相互作用しなくなった。C末領域の核局在シグナルを欠いたORF1変異体とGFPとの融合タンパク質とORF1タンパク質をタバコBY2細胞などで同時に発現させると、融合タンパク質は核に局在した。これは、ORF1同士が植物細胞内で多量体を形成して核に局在していることを示唆する。
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© 2004 日本植物生理学会
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