日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコFtsHプロテアーゼの発現系の構築およびその機能解析
*井川 裕之天野 豊己塩井 祐三
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p. 598

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抄録
 高等植物のFtsHプロテアーゼは膜結合型のタンパク質で葉緑体のチラコイド膜に結合した状態で存在している.現在その生体内の機能は光ダメージを受けた光化学系IIの反応中心であるD1タンパク質の分解を行っていることが示されている.
 本講演では,我々はタバコFtsHプロテアーゼの全長cDNAを用いて発現系を構築し,発現タンパク質の解析を行なったので報告する.FtsHプロテアーゼは膜結合型タンパク質であるため,一般的に精製や発現系の構築は難しいとされている.我々はFtsH遺伝子をpETベクターに組み込み,FtsHプロテアーゼとT7・tagを融合させることにより可溶化したT7・tag融合FtsHプロテアーゼを得た.この融合タンパクをT7・tagアフィニティカラムによりほぼ均一に精製し,タンパク質分解活性を測定したところ,カゼイン分解活性を示した.このカゼイン分解活性はZn2+,ATPにより活性化され,これまでの報告とも一致している.現在,融合FtsHプロテアーゼにおけるATP分解活性およびタンパク質分解活性などの酵素学的性質について解析を進めている.また,このFtsHプロテアーゼに対する阻害剤の影響などもあわせて報告する予定である.
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© 2004 日本植物生理学会
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