日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トチュウ細胞培養系の確立及びリグナン類の生合成誘導
*鈴木 利貞岩井 昭子片山 健至
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p. 610

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抄録
リグナン類は2つのフェニルプロパン単位(C6-C3)が側鎖同士で結合したC6-C3-C3-C6骨格を持つ化合物である。そのほとんどはキラルで光学活性を示し、生理活性物質として医薬の分野で注目されているものもある。しかしながら、植物におけるリグナン類の生合成及び樹木生理学的役割については解明されていないものが多い。本研究では、リグナン類が多く含まれているトチュウ(Eucommia ulmoides Oliv.)を実験材料として用い、細胞培養系を確立し、リグナン類の生合成を誘導することを目的とした。
香川大学圃場で育成したトチュウの頂芽、形成層及び葉を採取し、固体培地上でカルス誘導を行った。培地には、B5培地用塩類と2,4-D、BAP等の植物ホルモンを組み合わせた寒天培地を用いた。最適な条件下で誘導されたカルスを同条件下で継代培養し、形成層組織から黄色カルスと緑色カルスを得た。各々のカルスをMeOH抽出し、二層分配及びSep-Packにより精製後、リグナン類(ピノレジノール、メジオレジノール及びシリンガレジノール)をHPLC-PDAにより分析した。両カルスのクロマトグラムには3種のリグナンに対応するピークは認められたが、それらの含有量は微量であった。現在、トチュウ培養細胞に前駆体及び各種エリシター処理を行い、どのような培養条件下でリグナン類が効率良く生産されるのかについて検討している。
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© 2004 日本植物生理学会
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