抄録
我々は、これまでにヒマワリの種子水滲出物から、雑草(オオイヌノフグリ)の成長を抑制する生物活性を有する物質のひとつとして、4,15-dinor-3-hydroxy-1(5)-xanthene-12,8-olide (sundiversifolide)をすでに単離・同定した。Sundiversifolideはヒマワリ種子吸水時の水滲出物中に含まれるが、その量は種子吸水開始から1日目が最も多く、その後日数の経過にともない減少する。これまでに、この物質が、ヒマワリ種子の果皮に存在することを確認した。一方、暗所及び明所で生育させた6日齢のヒマワリ芽生えの70%アセトン抽出物中のsundiversifolideはHPLC、LC-MSを用いた分析において検出限界以下であった。Sundiversifolideの、種子発芽後の生育過程における動態とヒマワリにおける機能を明らかにするために、この物質のヒマワリの成長に及ぼす効果と、成熟したヒマワリ個体の花、蕾、葉、茎、根の各器官における分布を調べた。HPLC分析レベルにおいて、葉と蕾にその存在を確認した。Sundiversifolideは、成熟個体で生産されヒマワリ種子の発芽時に生育環境中に放出される可能性が示唆された。