抄録
水分屈性は、根が水分勾配を感受し、高水分側に屈曲する現象であるが、その分子機構に関する研究は遅れている。われわれはシロイヌナズナの根の水分屈性実験系を確立して、水分屈性の欠損・低下した突然変異体 (root hydrotropism; rhy) を 14 株単離し、それらの特性および突然変異遺伝子を解析している。これまで、rhy1 は水分屈性を欠損するが、野生型と同様な重力屈性、光屈性、波形成長、伸長成長を示すこと、rhy2 と rhy3 は水分屈性の低下だけでなく、波形成長あるいは重力屈性、光屈性に異常のある突然変異体であることを明らかにした。本研究では、新たに rhy4 と rhy5 が正の水分屈性を欠損すること、また、rhy4 は時間の経過とともに水ポテンシャルの低い側に屈曲することが明らかになった。rhy4 は波形成長における波形の振幅が小さく、rhy5 は波型成長時における伸長成長の低下した突然変異体であった。さらに、突然変異遺伝子のマッピングを行い、rhy1 および rhy4 の変異原因遺伝子の座乗する染色体を決定した。