日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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防御応答を制御するシロイヌナズナの転写因子AtNF-X1の機能解析
増田 大祐仲下 英雄山口 和男*西内 巧
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p. 635

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抄録
我々は、麦類赤カビ病菌のFusarium属などが産生し、植物への感染過程で病原性因子として働くトリコテセンの植物での作用機構を解析する過程で、その1種であるT-2 toxinによって、AtNF-X1遺伝子が顕著な発現誘導を示すことを見出し、逆遺伝学的な解析を進めている。AtNF-X1は、ヒトのclassII MHC遺伝子のリプレッサーである転写因子NF-X1のホモログで、マウス、線虫、酵母、イネなど多様な生物種に存在し、1個のRing finger domainと7-9個のNF-X1 typeと呼ばれるZn-finger domainを有している。AtNF-X1遺伝子のT-DNA挿入変異株は、通常の栽培条件下では顕著な表現型を示さないが、T-2 toxinに対して高感受性になることを見出した。この変異株では、野生株に比べて、DNA結合domainであると思われるC末側の配列を欠いた短い転写産物が安定して発現しており、またT-2 toxinによる蓄積の増加も見られた。また、マイクロアレイを用いてT-2 toxin存在下における野生型と変異株の遺伝子発現の比較を行ったところ、AtNF-X1変異株では野性株と比較して、signal transduction(ex. receptor kinase), transcription(ex. WRKY), cell rescue, defense(ex. NBS-LRR)など防御応答に関わる遺伝子の発現に顕著な増加が見られ、AtNF-X1はこれらの 発現制御に関わるリプレッサーとして機能し、T-2 toxinにより引き起こされる防御応答の制御に関与している可能性が示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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