日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラット肝臓由来亜硫酸酸化酵素遺伝子導入タバコの作出と亜硫酸耐性
*尾崎 崇一河野 尚由Ghazi Hamid Badawi芦口 篤広山内 靖男田中 浄
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p. 644

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抄録
 二酸化硫黄(SO2)は化石燃料の燃焼によって発生する主要な大気汚染である。植物の葉によって吸収されたSO2はアポプラストの水層に溶解し、亜硫酸イオン(SO32-)が生成する。亜硫酸イオンには強い細胞毒性があり、RuBisCOの拮抗阻害、酵素のチオール基の化学修飾により、炭酸固定系などの代謝阻害を引き起こす(直接毒性)。亜硫酸イオンは葉緑体に侵入し、光化学系でSulfite-mediated chain reactionにより、自身は比較的無害な硫酸イオンに酸化されるが、その過程で大量の活性酸素を生成し、植物に強い障害を及ぼす(間接毒性)。ここでは、亜硫酸イオンを硫酸イオンに酸化させる亜硫酸酸化酵素cDNAをラット肝臓からクローニングし、植物に遺伝子導入し、二酸化硫黄無毒化植物の作出を試みた。
方法:ラット肝臓から亜硫酸酸化酵素の全長cDNAを単離し、植物高発現ベクターpBE2113にサブクローニングし、アグロバクテリウムを介して、タバコに遺伝子導入した。細胞質発現型と葉緑体発現型(RuBisCO small subunitのtransit peptide遺伝子を利用)の2種の形質転換体を作出した。
結果と考察:形質転換体のSOX活性を測定したところ、コントロールと比較して高い活性が得られた。また、亜硫酸耐性を検定したところ、コントロールの致死濃度以上の濃度下においても、形質転換体は生存した。
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© 2004 日本植物生理学会
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