抄録
PEPCはC4光合成における初期炭酸固定を触媒する酵素である。トウモロコシPEPC(ZmPEPC)はL-リンゴ酸(MA)やL-アスパラギン酸(Asp)によってフィードバック阻害を受けることが知られている。今回我々は、部位特異的変異導入を用いて、アロステリック阻害を受けにくくなっている変異型酵素の作製に成功した。これまでの大腸菌PEPC(EcPEPC)のX線結晶解析の結果から、4つのアミノ酸残基がAsp結合部位であると推定されていた。本研究ではそれに対応するZmPEPCのLys835とArg894をGlyに置換した酵素を作製し(K835GとR894G)、活性測定を行った。その結果、K835G、R894GともにMAおよびAspに脱感作しており、最大でも30%程度しか阻害を受けないことがわかった。変異型酵素の最大活性や活性化因子の効果など、そのほかの性質は野生型とほぼ同じであった。このことから、ZmPEPCのLys835およびArg894はMAやAspによるアロステリック阻害に関与している残基であるということが明らかとなった。現在はZmPEPCのLys835およびArg894に相当するEcPEPCの残基(Lys773、Arg832)を同様にGlyに置換した変異型酵素を作製し、同様に阻害因子に対する感受性を測定することを試みている。