日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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包括的転写解析によって明らかになった、硝酸によるジャスモン酸関連遺伝子の調節 - ミヤコグサの根毛における硝酸応答 -
*前川 隆紀林 誠浅水 恵理香田畑 哲之河内 宏室岡 義勝
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p. 664

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抄録
マメ科植物と根粒菌との共生成立において、根毛における根粒菌の感染・侵入には硝酸態窒素が阻害的に働く。根粒形成初期過程における硝酸阻害を解析するために1,9000のnon-redundantなミヤコグサESTクローンをスポットしたアレイを用いて、根毛における硝酸応答遺伝子を解析した。硝酸処理4日後の根毛において、窒素同化関連遺伝子の他に、HPP domain containing protein、MYB-type transcription factor、LRR protein をコードする硝酸誘導遺伝子を同定した。興味深いことに、ジャスモン酸誘導遺伝子として知られる12-oxo-phytodienoic acid reductase、 glutathione S-transferase、 UDP-glucosyltransferaseをコードする遺伝子は発現抑制されていた。窒素制限条件下での根粒菌感染時にジャスモン酸を与えると、感染糸形成は顕著に向上した。これらの結果から、根毛における根粒菌形成過程には、硝酸による内生ジャスモン酸量の低下によって引き起こされる、サリチル酸による病原防御応答が関わっていることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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