日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケにおける硝酸還元酵素と亜硝酸還元酵素の転写制御機構の解析
*上坂 一馬辻本 良真吉川 彰小俣 達男
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p. 665

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抄録
 我々は、ヒメツリガネゴケの硝酸還元酵素(NR)遺伝子および亜硝酸還元酵素(NiR)遺伝子のcDNAをそれぞれ2コピーずつクローニングし、ノーザン解析によりそれらはすべて硝酸イオンによって誘導され、アンモニアの代謝産物によって抑制されることを示した(2003年度本大会)。
 シロイヌナズナにおいてNR遺伝子の発現は、硝酸イオンによって誘導され、亜硝酸イオンによって抑制されることが、最近報告された。ヒメツリガネゴケにおいても、NR遺伝子の発現は亜硝酸イオンによって抑制されたが、亜硝酸イオンによる抑制の効果としては、亜硝酸イオンの還元産物であるアンモニアによる抑制の効果をみている可能性が考えられた。そこで、アンモニア代謝産物によるフィードバック阻害の影響を排除するために、相同組み替えによって作製したNiR破壊株を用いて実験を行ったところ、NR遺伝子の発現は、亜硝酸イオンを与えた場合にも誘導された。このことから、ヒメツリガネゴケにおいては、シロイヌナズナとは異なり、亜硝酸イオン自身にはNR遺伝子の発現を抑制する効果がないことが示された。次に、グルタミン合成酵素とグルタミン酸合成酵素の阻害剤を用いて、アンモニア代謝産物による抑制機構の解析を行ったところ、NRおよびNiR遺伝子は、すべてグルタミンによって抑制されることを示唆する結果が得られた。
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© 2004 日本植物生理学会
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