抄録
光合成細菌 Rhodobacter sphaeroides f. sp. denitrificans IL106 のDMSO (dimetylsulfoxide) 呼吸系のdmsCBAオペロンは2成分制御系のDmsS/DmsRで転写制御が行われている。一般にセンサーキナーゼは膜貫通タンパクと推定されているが、DmsSの予想されるアミノ酸配列において明瞭な膜貫通セグメントが見られなかった。LacZ 融合による膜結合領域の解析を行った結果、DmsSの膜結合領域はペリプラズムに露出していないことが推測された。そこでDmsSがDMSOではなく、何をシグナルとして認識しているのかが問題となった。
本研究ではセンシング機能を有する膜結合領域を部分切除することにより、センシングに必要な領域を同定することを目的とした。DmsSの膜結合領域のC末端側から長さを変えてアミノ酸を削るように、4つのプラスミドを構築した。それぞれのプラスミドをDmsS破壊株に接合導入し、イムノブロットによってDMSO還元酵素の発現を確認したところ、すべての株において発現の回復は見られず、膜結合領域はセンシング機能に必要であることが推定された。