抄録
シアノバクテリアは光化学系II(PSII)のD1、D2タンパク質をコードするpsbA, psbD遺伝子を重複してもっているため、光独立栄養増殖を阻害せずにこれらの遺伝子破壊と置換が可能である。中温性Synechococcus elongatus PCC 7942の染色体上のpsbAIおよびpsbDI遺伝子のタンパク質コード領域を好熱性Thermosynechococcus vulcanusのD1とD2タンパク質のコード配列に置換した組換え体を作成した。シアノバクテリアの菌体よりチラコイド膜を可溶化し、T. vulcanusのD1-1特異的抗体を用いてウェスタン分析を行った。S. elongatus PCC 7942 のpsbAI遺伝子のみを置換した組換えS. elongatus GRPS201株では、PSII複合体に好熱菌由来のD1-1タンパク質はほとんど組み込まれていなかった。psbA遺伝子のノーザン分析より、GRPS201 株では組換え型psbAI遺伝子が最も多く転写されていたので、D1-1タンパク質の翻訳または翻訳後のアセンブリーが進行していないと考えられた。GRPS201株のpsbDI遺伝子ORFを好熱菌のD2タンパク質ORFに置換した株を作成し、好熱菌由来D1-D2ヘテロダイマーが中温菌内でアセンブリーされるか調べている。