日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis sp. PCC 6803のGerE様低分子量転写因子をコードするssl0564遺伝子の機能解析
*中村 絹日原 由香子
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p. 672

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抄録
Synechocystis sp. PCC 6803のssl0564遺伝子は、89アミノ酸残基の全長のほとんどが、LuxR型のへリックスターンへリックスモチーフ部分から成る、低分子量転写因子をコードしている。同様な転写因子は原核生物に広く存在するが、機能解析は枯草菌で胞子形成時に働くGerEについてなされているのみである。ssl0564の生理的役割を明らかにするため遺伝子破壊株を作製し、通常条件と、強光、酸化、塩、高温の各種ストレス下で表現型を調べたが、野生株との間に違いはなかった。しかし窒素欠乏条件では、破壊株でフィコシアニン量の著しい減少がみられた。組換えSsl0564タンパク質を発現させたところ、二量体の形成が確認されたが、DTT等還元剤の存在下では二量体化は起きなかった。シアノバクテリアのGerE様低分子量転写因子のC末領域には、良く保存された三つのシステイン残基が存在するが、これらが二量体化に関わっている可能性が考えられる。以上の結果からSsl564が窒素欠乏条件下でレドックス変化を検知し、遺伝子発現調節を行っているのではないかと考え、現在マイクロアレイ解析の準備を進めている。また、ゲノムDNAライブラリー中から、Ssl0564タンパク質に特異的に結合する配列を単離する試みについても併せて報告したい。
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© 2004 日本植物生理学会
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