日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑色硫黄光合成細菌Chlorobium vibrioforme NCIB 8327株の不活性化したbchU遺伝子の変異蓄積による色素組成の変化
*原田 二朗佐賀 佳央大岡 宏造民秋 均
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p. 673

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抄録
緑色硫黄光合成細菌の持つクロロソーム内の色素は種によって異なり、バクテリオクロロフィル(BChl)cdeのいずれかで構成されている。しかし、我々はこれまでに緑色硫黄細菌Chlorobium (Chl.) vibrioformeにはクロロソーム内の色素組成が異なるいくつかの株が存在することを報告してきた。Chl. vibrioforme NCIB 8327株にはクロロソーム内にBChl cのみもしくはBChl dのみを持つ2種類の菌株が存在することが分かった(それぞれC株およびD株とする)。また、この株と同一クローンとされているChl. vibrioforme DSM 263株にはこの2つの色素が同一細胞内に存在していることも明らかにした。本研究では、これらの株が同一クローンにも関わらずに異なる色素組成を示す原因が、BChl cの20位メチル化酵素遺伝子、bch U、にあると考えて、まずはこれらの株のbchU遺伝子配列の解析を行った。その結果、D株ではbchUが不活性化しているが、短い期間にその遺伝子に変異が蓄積し、bchUが再活性化してC株とDSM 263株に変化したことが示唆された。また、2つの色素の生理的機能を調べた結果、BChl cdよりも菌の生育に有利に働くと考えられた。このことが1つの選択圧となってD株の不活性化bchUに復帰突然変異が生じ、BChl cを合成する株に変化したと考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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