日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑色硫黄光合成細菌Chlorobium tepidumにおけるバクテリオクロロフィルcのC-20位のメチル化酵素BchUの酵素反応系の確立
*八重田 幸原田 二朗佐賀 佳央大岡 宏造民秋 均
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p. 674

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抄録
緑色硫黄光合成細菌の持つクロロソームは、光エネルギー捕集のための特殊な膜外アンテナ系であり、その光捕集の中核部はタンパク質の関与しない色素のみの自己会合体からなっている。そのため、クロロソームの研究は、光デバイスや光センサーの開発においても近年注目されてきている。当研究室では、有機合成化学的に自己会合能力を持たせた新規クロロフィル型化合物を合成し、様々な環境下で自己会合させて、その機能を解明する研究を行っている。しかしながら、有機合成によって合成可能である化合物には制限があり、特に複雑な化合物へのメチル基を直接導入することは困難である。生体内のクロロソーム内に存在する色素であるバクテリオクロロフィル(BChl)cdeには多くのメチル基が存在し、合成化合物を用いた研究においても種々のメチル基を導入した化合物を比較検討することが今後の研究の発展に必要である。本研究では、近年ほぼ明らかとなった緑色硫黄光合成細菌Chlorobium tepidumのBChl c合成経路におけるメチル化酵素に着目し、それらの酵素を用いて有機合成化学的に応用できる反応系を確立することを目的とした。これまでにBChl cの20位のメチル化酵素遺伝子bchUの大腸菌内での発現実験を行い、可溶性画分に目的の大きさのタンパク質を確認した。現在、合成化学への応用を視野に、様々な基質とBchUとの反応系を検討している。
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© 2004 日本植物生理学会
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