日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シアノバクテリアSynechococcus sp. PCC7942 DnaK2タンパク質の
psbAII 遺伝子発現制御における機能解析
*渡辺 智佐藤 真純荷村(松根) かおり吉川 博文
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 679

詳細
抄録
 我々はシアノバクテリアSynechococcus sp. PCC7942株において3つのdnaK相同遺伝子(dnaK1、dnaK2、dnaK3)を見い出している。これら3つのdnaKのうち、dnaK2dnaK3と共に生育に必須であり、熱ショック応答を示す他、強光、塩ストレスでも誘導されることが当研究室より確認されている。
 酵母2ハイブリッドシステムを用いたスクリーニングの結果、DnaK2タンパク質とRNase Eとの相互作用が示唆された。MicrocystisにおいてRNase Eは非翻訳領域内のAU-boxをターゲットとしてpsbAII mRNAの安定性を光条件により調節していることが示唆されている(伊東葉子 他, 2001 日本分子生物学会)。このことからDnaK2がRNase Eによる psbAII mRNAの安定性の調節機構に関与している可能性を考えた。
 今回我々は、lacZ遺伝子をレポーター遺伝子としてpsbAII mRNAの非翻訳領域と融合させ、AU-boxの有無による影響を調べた。その結果、S. 7942株においてもpsbAII mRNAの安定性にAU-boxが関与している可能性が示唆された。次にDnaK2の過剰発現による影響を調べたところ、通常の生育光条件でDnaK2を過剰発現させるとpsbAII mRNAが安定化することが示唆された。DnaK2の影響が、RNase E を介したpsbAII mRNAの安定性によるものかどうかさらに詳しく解析中である。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top