日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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特定上位葉が水分ストレス様捲葉となる水稲変異体の体内成分の解析
*藤原 伸介山本 昭洋寺門 純子鈴木 保宏石川 哲也
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p. 686

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抄録
 コシヒカリ種子へのアジ化ナトリウム処理により得られた水稲変異体KT95は、下位葉が正常な葉身で、止葉を含む上位葉数枚が水分ストレス様の捲葉となる。本変異体KT95の代謝特性を明らかにするため、水分ストレスに応答して変動するプロリンやポリアミン、また主要なミネラル、微量元素などについてKT95と親株コシヒカリとの間の成分の比較を行った。
主稈の最終葉数が13枚の場合、KT95は11枚目までが正常で12、13葉が捲葉となった。しかし、葉身の水分含率は親株と変わらず、水分ストレス様の外観であっても、実際には水分欠乏とは認められなかった。実際、葉身のプロリンやプトレシンの含有量は親株との間に顕著な差が認められなかった。一方、親株とKT95では葉身のスペルミジンとスペルミン含量に大きな差が認められ、組織の代謝活性の指標となるスペルミジン/スペルミン比はKT95が著しく低い値を示した。主要ミネラルの中ではCaおよびMnが、また微量要素ではCaと同族のBaとSrがKT95の葉身で低く、親株との差は止葉でもっとも著しかった。
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© 2004 日本植物生理学会
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