抄録
アラビドプシス花芽形成遺伝子であるLEAFYのリンゴのオルトログであるAFL遺伝子について、ゲノムのクローニングを行った。以前(岡山 2002)報告したAFL1, AFL2以外にAFL1aが得られた。このAFL1aは、AFL1の第1イントロンに約800bpの未知の配列が挿入されており、前後に9bpのdirect repeatがあった。栽培品種によってこれらの遺伝子の存在パターンはランダムに変化しており、AFL1, AFL1aを同時に持つものなどその種類や数は一定していなかった。また、後代への遺伝様式もランダムであった。また別の品種では上記以外の相同遺伝子が存在していることが示された。以上のことはリンゴAFL遺伝子の機能が固定されたものではなくリンゴの花芽形成に柔軟に関与していることを示唆した。さらに、リンゴの野生種や近縁種のAFL相同遺伝子をゲノムサザンにより解析すると、複数個のバンドが検出された。これにより、複数のAFL遺伝子はリンゴ栽培品種に特異なことではなく、この属や近縁種に共通の特徴であることが分かった。また、AFL1aが実際発現し機能するのかどうかを、アラビドプシス形質転換体を作製して解析を行ったので報告する。