抄録
センチピードグラス((Elemochloa ophiuroides Hack.)は高温多湿の状態を好む暖地型シバの一種である。このセンチピードグラスは雑草の発生を抑制し、食害虫が少なく、さらに、種子繁殖が可能なため大面積を短期間で被覆することができる反面、播種の段階で他の草に負けやすく、土地の耕転を必要とすることがある。そのためより有用な特性を備えた品種の迅速な開良が求められているが、センチピードグラスを用いた分子生物学的研究はほとんどなされていない。そこで本研究では、有用遺伝子を導入したカルスから、植物体を形成する過程で必要な再分化技術の確立を目的として、種子からのカルス誘導及び増殖に適した植物ホルモン濃度の検討、さらにカルスからの再分化を試みた。その結果、カルスの誘導には2,4-dichlorophenoxyacetic acid (2,4-D) 1.0 mg/l を加えた条件が最適であり、誘導したカルスの継代では、2,4-D 1.0 mg/l及び カイネチン1.0 mg/l を加えたMurashige and Skoog (MS) 寒天培地において活発なカルスの増殖が観察された。また、増殖したカルスをカイネチン1.0 mg/l を加えたMS培地に移したところ、シュートの再分化が観察され、ホルモンフリーの培地へさらに移植することで根の再分化も観察できた。