日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オーキシン信号伝達系阻害剤Terfestatin Aの作用機序およびchemical genetic approach
*林 謙一郎山添 淳野崎 浩
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p. 734

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抄録
 Terfestatin A(TrfA)は、放線菌の培養液より、オーキシンによる遺伝子発現の誘導阻害を指標として単離された、拮抗型のオーキシン信号伝達系阻害剤である。TrfAは、オーキシンによる初期応答性Aux/IAA遺伝子の発現をオーキシンと拮抗的に阻害し、また、シロイヌナズナ個体において、胚軸伸長、側根発根、重力屈性および根毛形成などのオーキシンの作用に拮抗的に阻害することを明らかとしている。今回、その作用機序を詳細に検討した。TrfAは、オーキシン初期応答性Aux/IAA遺伝子の発現を阻害する濃度で、タバコBY-2細胞のオーキシンによる細胞分裂を阻害し、さらに、オーキシンによるサイクリンB1遺伝子の発現誘導を阻害した。TrfAを添加した培地で生育させると、根の重力屈性が消失するが、auxin influx carrierタンパクの変異株であるaux 1-7変異株を用いた解析で、重力屈性の阻害は、トランスポーターの阻害のためではないことを明らかとした。また、TrfAのターゲットを同定する目的で、40000粒のEMS M2種子から、シロイヌナズナのTrfA耐性変異株のスクリーニングを試みた。TrfAとオーキシンを用いた拮抗アッセイを用いて、スクリーニングしたところ、興味深い表現型を示す52B3株を得ることができた。現在その表現型を解析中である。
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© 2004 日本植物生理学会
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