日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジベレリン応答遺伝子SCL3の役割の解析
*小川 幹弘桑原 亜由子Alice J. PaquettePhilip N. Benfey神谷 勇治山口 信次郎
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p. 737

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抄録
ジベレリン(GA)はシロイヌナズナの種子発芽や生長に必須であり、その生合成に欠陥を有するga1-3突然変異体では、GAを投与しない限り発芽や伸長生長がほとんどおこらない。我々は、GAの引き起こす発芽促進や茎葉部の伸長生長の機構を調べるために、マイクロアレイ(GeneChip, Affymetrix)を用いてGAに応答する遺伝子を同定した。
種子発芽時と茎葉部で共通してGA処理により発現量の減少する遺伝子としてSCARECROW-LIKE 3SCL3)を得た。SCL3は、根の生長や分化に関わるSCRやSHR、GAのシグナル伝達に関わるRGA、GAIなどで構成されるGRASファミリーに属するタンパク質である。我々はSCL3の役割を調べるために、T-DNA挿入株とSCL3過剰発現体の解析を行った。T-DNA挿入変異株の表現型は通常の培地で生育させた場合、野生株と比べ大きな相違はないものの、GA生合成阻害剤であるウニコナゾール存在下で育てた場合、発芽や根の長さがウニコナゾール感受性を示した。また、これらの表現型は、T-DNA挿入変異株にSCL3を含むゲノムの断片を導入した形質転換体で相補された。さらに、GAを添加した培地においてSCL3過剰発現体の胚軸が野生株と比べて顕著に長くなることがわかった。以上の結果は、SCL3がGA応答経路の正の調節因子として機能することを示唆している。
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© 2004 日本植物生理学会
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